管理組合の皆様方は、毎月管理組合に対して、マンションの敷地や共用部の管理をおこなう為にマン
ンションの管理費を支払っているのですが、果たしてこの費用について相場より高いのか、それとも安いのか、判断に困っていることと思います。
それぞれのマンションを比較するにしても、
①マンション規模
②共用設備の維持管理費用
③サービス内容
④地域による価格差
などが各マンションによって、千差万別です。中々、比較したくても簡単にできる代物ではありません。以下に、参考として幾つかの相場に関するデータを紹介します。
「マンション総合調査結果報告書 平成25年度版」
客観的にマンション管理費の相場について、参考できる公的資料です。
国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室より5年に1回発行される、「マンション総合調査結果報告書」が公開されています。平成25年度版によると、「管理費収入/月/戸当たり」について下記の通り記述されています。
戸数規模別 |
平均 (円) |
全 体 |
10,661円/戸・月 |
20戸以下 |
16,595円/戸・月 |
76戸~100戸 |
9,621円/戸・月 |
101戸~150戸 |
9,314円/戸・月 |
501戸以上 |
11,864円/戸・月 |
傾向としては、戸数が多いマンション程管理費が下がる傾向にあり、スケールメリツトがでていると思われます。(注:但し、タワーマンションについては戸数が多いのに、管理費が高くなる傾向にあります。)
この調査資料は、全国にあるマンションの内2,324管理組合を対象とした結果であり、あくまでも参考として捉えるべきではありますが、マンションの戸数が増えると、管理費が下がる傾向にあります。
「首都圏マンション管理費調査2011年版」
次は、民間研究機関である、不動産経済研究所より、「首都圏マンション管理費調査2011年版」が公開されています。「管理費収入/月/㎡当たり」について下記の通り記述されています。
戸数規模別 |
㎡あたり平均 (円) |
全 体 |
216.43円/㎡・月 |
59戸~99戸 |
201.84円/㎡・月 |
100戸~299戸 |
203.96円/㎡・月 |
上記単価に、貴マンションの各住居の面積を掛ければ、比較ができる形式となっています。
この調査資料は、調査時期に於ける首都圏の新築マンションの管理費を比較した形式であり、かつ調査時期が若干古い事を念頭に置いて参考とすべき資料です。(その年度に発売したマンションの管理費相場について掴めます。)
「森博之マンション管理士事務所の調査データ 2016年下期」
最後に、当マンション管理士事務所が調査した、関東地方のある都市部のマンションの管理費についての調査結果があります。「管理費収入/月/戸当たり」について下記の調査結果となりました。
地区 |
平均(円) |
関東地方のある都市部 |
11,349円/戸・月 |
この調査資料は、関東地方のある都市部にあるマンションの内69棟を対象とした結果であり、棟数が少なく、参考として捉えるべきではありますが、ある都市部における近隣マンションの管理費の相場が分かります。
マンションの管理費を適正な金額とする為には
いくつかのマンションの管理費に関するデータを参照していただきましたが、調査方法によって、相場にばらつきが有ることが分かって頂けたと思います。最初にお話しした通り、各マンションによって条件が千差万別であることが原因となっています。
「マンション総合調査結果報告書 平成25年度版」によりますと、マンション管理業者の決定方法は、「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者である」が75.8%となっています。この75.8%のマンションの中には、今まで管理費について見直しをしていない管理組合が有る可能性があります。
もし管理費の見直しを一度も実施していないようでしたら、管理組合においてマンション管理費の内容についての分析をお勧めいたします。料金体系が当初のまま推移しているとすると、競争原理が働いていない価格体系かもしれません。
最後になりましたが、管理組合として管理費を適正な金額とする為には、
①マンション管理組合は、理事主導の理事会を運営すること。
②管理会社は、マンション管理組合のオブザーバーと心得ること。
(管理会社が、管理組合を運営する訳ではではありません。)
マンション管理組合は、管理組合自身が主体性を持って日々管理組合運営に取り組む事が非常に大事なことであると考えます。